廃棄食品横流し事件から学ぶこと(その1)


年明けから連日マスコミを賑わせているのが「冷凍カツをはじめとする廃棄食品の横流し事件」です。何てひどい業者だ!許せない行為だ!と誰もが思うところですが、処理業者あるいは排出事業者の立場でこの報道を見たとき、実に学ぶことが多い事件であると言えます。

廃棄物処理法第11条では、産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあること、同法第12条では、自ら処理できない産業廃棄物については、許可を有する業者に処理委託できることが規定されています。さらに、処理委託に当たっては契約書を作成することや管理票を使用して処理完了を確認することなど、産業廃棄物の適正処理確保のために多くのことがルール化(義務付け)されています。

それにもかかわらず、今回の事件が発生したのはなぜかを考えたとき、「単に処理受託者のダイコーが金儲けのためにやった」というよりも、処理受託者=許可業者が「自分は排出事業者の身代わりとして、受託した産業廃棄物を適正に処理する義務がある」という認識が著しく欠如していたことが最大の要因として挙げられます。また、排出事業者の側で見ても、自社の身代わりで処理委託をする相手先として本当に信頼が置ける業者を選定したのか、適正な処理実施のために必要な費用に見合う料金設定がされていたのか等について、排出事業者としての取り組みの甘さが指摘されています。

NHKの朝の連続ドラマ「あさが来た」でも取り上げられているように、事業遂行に最も必要なのは取引する双方の「信頼」ということを、この事件を教訓に再確認して欲しいと思います。