第6回  「人は見掛けによらぬもの」


 車で東名高速をよく利用しますが、ある時東名のパーキングにおいて一服休憩しているときでした。そこは丁度ゴミボックスの近くであり、パーキングに立ち寄ったドライバーがゴミを捨てに来ていましたが、そのうちに一人の男性が目に入りました。どう見てもその風体から怖いお兄さん、その筋の人と思われるお兄さんです。若干大きめのコンビニ袋を提げてゴミボックスに向かってきました。
 「この人もちゃんとゴミ箱に捨てに来たんだなあ」と変に感心して見ていました。するとその怖いお兄さん、コンビニ袋の中から空き缶、ペットボトル、そして一般のゴミをちゃんと分別して捨てているではありませんか。当然のこととはいえ、予想外の行動でびっくりしたのと同時に「このお兄さん、いい人だなあ」と素直に感心した訳であります。風体や身なりなどの外見だけで人を判断してはいけないと、あらためて反省した次第です。
 いまではプロの空き巣犯人もセールスマンばりに背広を着用し、きちっとした身なりで仕事に及んでいるといいます。これは周りから怪しまれないため、職務質問から逃れるための泥棒さんの工夫のようであります。また、最近の反社会的勢力の人も一般の人とまったく見分けがつかないといったご時世であります。
 時として、外見だけで偏見を抱き、人の善し悪しを判断することもありがちですが、しかし、その偏見をもったまま対応すると大変な間違いを起こすことになるということを忘れてはなりません。
 私自身の自戒の念を込めて紹介させて頂きました。