廃棄物処理法はどう変わったか(その1:罰則の強化)


前回までに廃棄物処理法は重なる改正が行われたてきたことやその背景についてお伝えしましたが、今回からは、繰り返された改正の結果、法律の中身がどのように変化してきたかを見てみたいと思います。その第1回目として、法律違反を犯した際の罰則の変遷について、最も重い罰則を科している「不法投棄罪」を例に調べてみました。

まず法律制定時(昭和45年)には最高でも罰金5万円でした。現在との貨幣価値の違いを多めに10倍と見積もっても、いかに軽かったかがお分かりいただけると思います。この程度の罰則なら「やり得」だということで悪徳業者が横行したことから、昭和51年に罰則が強化され、初めて「懲役刑」(6箇月)が導入されるとともに、罰金も最高30万円に引き上げられました。

その後、平成3年には罰金限度額が50万円に改正されましたが、組織ぐるみ、巧妙な脱法行為は後を絶たず、平成9年には大幅な罰則強化が図られました。この改正では、懲役が3年、罰金限度額が1,000万円に引き上げられるとともに、法人に対する罰金刑として最高1億円が設けられました。更に平成12年には懲役刑が5年に延長され、平成22年には法人に対する罰金限度額が3億円まで引き上げられ現在に至っています。さすがにここまで罰則が強化されると、「見つかるとヤバイ」と考える輩も多く、全国における不法投棄件数は数字の上でも大きく減少しています。

当初の罰金限度額5万円は、廃棄物処理法と同時期に成立した「大気汚染防止法」や「水質汚濁防止法」等との整合性からこのような金額が設定されたものと推測されますが、現時点における環境他法令の最も重い罰則が懲役1年、罰金100万程度に留まっていることを考えると、廃棄物処理の持つ特殊性や難易性を改めて思い知らされます。