TUBOJUNコラム Vol.19


「茗荷にまつわる深いい話」


皆さま、こんにちは! 8月に入りました。夏季休暇を目前にして浮足立っている方も多いのでは。私も家族旅行を予定していますが、目的地は大阪のエキスポシティ。ポケモンとコミュニケーションできる「ポケモンEXPOジム」に行きたいというお子様の希望で半年ほど前から決めていたところに降って湧いたようなポケモンGO騒ぎ。EXPOジムも混んでいそうだなぁ・・と、人混み大嫌いの私としては若干憂鬱気味のTUBOJUNです!

さて、夏が旬の味覚として私は茗荷(ミョウガ)が大好物です。家庭菜園でも作っていますが、もともと湿った日陰を好む植物。雨が少ない今年、葉は日焼けしてしまい生りもイマイチ。茗荷好きの知人たちにお裾分けするほど採れないのが申し訳ないところ。私が食す分くらいは何とかなっていますが、ふんだんにという訳ではなく茗荷好きとしては物足りない量。ところで、茗荷を食べると物忘れをするという俗信を聞いたことありますか?

もちろん茗荷を食べると物忘れが酷くなるという話に学術的に根拠は無く、むしろ茗荷の独特の芳香は人の集中力を高めるそうです。俗信の由来は、昔、物覚えの悪いお坊さんがいて、そのお坊さんの死後、そのお墓に生えた草が茗荷だったという話だと云われています。またその話から派生して作られた「みょうが宿」という民話が古典落語にもなり世間に広く定着していったとも云われています。

ところで、その物覚えの悪いお坊さんとは誰なのか?これは釈迦の故事に由来していて、釈迦の弟子である周利槃特(しゅりはんどく)だとされています。周利槃特は時々自分の名前さえ忘れることがあったので、名前を背中に貼っておいた。それが「名を荷(にな)う」ということから「名」に草冠をつけて「茗荷」とされたという話。それだけなら「なるほどね〜!」で終わる話ですが、その後に続く話が実は深くていいのです。

ある日、周利槃特は自分の頭の悪さを嘆き、釈迦に悩みを打ち明けました。それに対して釈迦は、「愚者でありながら自分が愚者たることを知らぬのが本当の愚者である。お前はちゃんと己の愚者であることを知っている。だから本当の愚者ではない」と答え、周利槃特に「塵を払い、垢を除かん」という一句と一本の箒(ホウキ)を与えました。正直な周利槃特は真面目にこの句を唱え思索しながら多くのお坊さんたちの履物を掃除し続けました。そして長い年月を経た後、皆から愚者と冷笑された周利槃特は、ついに己の心の垢、心の塵を除くことが出来たのです。つまり悟りを開き、釈迦に大衆の前で「神通説法第一の阿羅漢」と称えられるほどの存在になったのです。

釈迦は、「悟りを開くということは、決して沢山のことを覚えるということではない。例えわずかなことでも小さな一つのことでも、それに徹底しさえすれば良いのである。見よ、周利槃特は箒で掃除することに徹底して遂に悟りを開いたではないか」と皆に伝えた、という話。深くていい話でしょう。このメールマガジン冒頭の社長あいさつにある通り今年度の当社の経営方針に於けるテーマは「約束・規則・時間厳守」「責任の明確化」「言い訳無用」「継続は力なり」。それらのテーマとも深いところで繋がる何かを考えさせられます。

ということで、私もさすがに自分の名前を忘れることはありませんが、人の顔と名前の覚えが悪くなったことを痛感する今日この頃。まさか茗荷の食べ過ぎではないか!?とも思いましたが、この話を知れば安心して茗荷を食べることが出来ますね!そして茗荷の季節が訪れるたびに、茗荷の妙味以上の深い含蓄のある周利槃特の物語に思いを廻らし、じっくり噛み締めて心して味わうこととしましょう。


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