「時事ネタ雑感」カテゴリーアーカイブ

働き方改革というが・・

昨日は静岡労働局による「働き方改革等説明会」に参加(@アクトシティ浜松)。「働き方改革」といえば、昨日は静岡新聞朝刊の社説でも日経新聞夕刊のコラムでも取り上げられていた今が旬のテーマ。ですが、私は正直なところ働き方改革を巡る議論にはイマイチ興味を持てません。この説明会に参加したのは、政府肝入りの看板政策であり、その支援策としての補助金の情報収集のため。

なぜ興味が持てないか?と問われれば、働き方改革を巡る議論に逆に息苦しさを感じるためです。働き方というのは一律的に決められるものではない。ましてや時間数や休日数だけで決まるものではない。良いか悪いかの二元論でもない。それぞれの人が望む生き方や働き方を出来る限り容認すること。また、それは人に決められるのではなく、自分で決める。そうあって欲しいと思います。

多難な家庭を支えながら東レで同期トップの取締役になるなど壮絶なワークライフバランスを高度に実現した佐々木常夫氏は言っていた。「プロセスや努力ではなく、まずは成果であり結果だ」と。自分で決めるということは、「会社が・・」「法律が・・」という他力本位の姿勢より実際には容易ではありません。全て自責で考える。本当の働き方改革はその先にあるものではないでしょうか。

ディープラーニングとセクハラ

昨日、「AI・IoTが加速するデジタル社会とビジネス変革」なるセミナーに参加。新聞紙面などを眺めても、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)は毎日のように溢れる旬な話題。どこか違う世界の話と思いながら、実は既に身近にあり、これからの世の中はAIとIoTにより確実に変化していくのだと実感。

将棋の世界でAIがプロの棋士を凌駕しつつある云われ始めた頃、そのAIには「ディープラーニング」なる技術が使われていると世間にも知れ渡りました。ディープラーニング(機械学習)は人間の知的活動と同じく手本とするデータを繰り返し学習することで分類・検知・推薦などの判断を実現する仕組み。

ディープラーニングは高精度な判断が出来る一方、その判断の元となる法則もディープラーニング自体が学習データの中から見出しているため、何故その判断をしたのか外部からは分からない。ブラックボックスの中から思考が生まれるのであり、そういう意味でも人間の脳と同じで興味深く感じます。

で、ディープラーニングに関連した面白い話。ディープラーニングは何をもって「セクハラ」と判断するのか?色々な人(基本的に男性だろうが)の言動をテキスト化し学習させた中からディープラーニングが導き出したセクハラな人の傾向は・・、職場の女性に対して「ちゃん付け」する男性、ですって。なるほどね。

もちろん「ちゃん付け」と「セクハラ」はイコールではなく、セクハラな人が持つ特徴的な傾向の一つとしても、分かる気がする。まあ、それ以上は申し上げませんが。気を付けましょう。ともあれ、ディープラーニングって、とってもカシコイのね。

ゼロサムゲーム

今朝の新聞は基準地価の話題。

どこが上がった下がったという個別のハナシはさておき。くまなく全体でみれば、全ての地価の上がった下がったの総和は、良くてゼロ・サムになると考えます。何処ぞのリゾート地や首都圏のタワーマンションを外国人が買っているとか投機的な動きを加味しても。価値の付くごく一部の土地と、価値の付かないその他多くの土地と。

「地方の地価回復続く」と記事の見出しにありますが、それは流通に適した比較的条件の良い基準値に於ける話であって、人口減少・空洞化により総体的には地方では逆に土地は余っていることを実感しています。現在の求人倍率が景気のバロメーター足り得ないのと同様、地価上昇もかつてのように景気の過熱を表すものではありません。

 

ゼロ・サムということで・・

著名なレスター・C・サロー「ゼロ・サム社会(解決編)」。読んだのは20年ほど前。論旨は・・全く覚えていません!いまさら再読する気も全くありません!銀行に就職し、ちょうどバブルの後始末の真っ只中の頃。右肩上がりという神話崩壊を実感する中で、サロー教授が提唱する「ゼロ・サム」という概念が沁み込んだことだけはよく覚えています。

レスター・サロー教授に関して記憶にある言葉。

「知的産業に従事する人は、新たなサービスを提供するための新たな知識を吸収していかない限り、価値は下がり続け、当然、賃金も下がっていく」

この本を読んだのと近い、まだ若手と呼ばれる時期。ある人から仕事に取り組む上での警句的に教えられました。当時二十代の私には響きましたね。それから20年を経て、AI(人工知能)の台頭に象徴されるように、知的産業に関わらずあらゆる仕事が機械に取って代わられる時代はすぐそこに来ています。サロー教授の言葉を超えた意味で。

同じく今朝の日経新聞には「三菱UFJフィナンシャル・グループは今後7年間で事務作業の自動化やデジタル化により国内従業員の約30%に相当する9500人分の労働量の削減を実現する」という記事が出ていた。その結果、「比較的単純な作業に従事してきた」「浮く人材」を「よりクリエーティブな仕事に振り分け」「生産性を高めたい」と件のトップは言うが、人間そう簡単に変わるとは思えません。

 

最近、あるプラントメーカーの方と話す機会があり、「廃棄物の選別ラインの作業をAIにより自動化する検討を進めている」と言っていたのが興味深かった。素人が想像するに、実用化には時間が掛かりそうですが・・。労働集約型の典型であり、良い意味でローテク産業の最たるものである産業廃棄物処理の世界もAIという言葉が出るとは。

産廃会社特有の仕事であり、AIに真っ先に馴染みそうなのはマニフェスト(産業廃棄物管理票)の事務処理でしょう。社内にはマニフェスト処理に主に従事する社員が十数人いて、事務作業の中でも大きなウエートを占めるうえに難儀している仕事。AIに労働基準法は関係ありません。24時間365日ぶっ通しで処理すれば・・、如何なる合理化が生まれるのか。

AI?真剣に研究する価値はあるのかも。他人事ではなく。

最低賃金は2年連続3%増

昨日の新聞各紙で目にした記事(上の表は静岡新聞朝刊より)。2017年度の都道府県別最低賃金の改定結果が出そろい、2年連続で3%の増加となった。ここ静岡県も、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会の目安に従い、3%(25円)アップの832円になるということです。

当社が支払っている賃金がこの改定により最低賃金に抵触することはありませんが、非常に近くなるケースも出てくる。そして一本調子で上昇する最低賃金を鑑みると来年には再び抵触しそう。それらを勘案すると、やはり早急に賃金体系の見直しに着手しなければ、との意を強くしました。

給与が上がるということは良きこと。それは否定しません。しかし、本来はその前にあるはずの付加価値や生産性の向上、それらが先に語られることは多くありません。むしろ付加価値や生産性の向上と逆行する事柄に取り組まざるを得ないことが増えている、とも感じます。「ありき」ではないと思うんですけど・・。言っても詮無きこと。

 

会社がある天竜区二俣町はお祭り。

夜になればそれなりに賑やかになりますが、昼間はご覧の通り少々寂しい人数で屋台を引っ張っていました。

私の地元は来週末がお祭り。私が住む地区も御多分にもれず若連の人数が減り「定年」はどこも上昇傾向。定年が上がる前に何とかお役御免となった私は、適当に参加するつもりです。

リバースモーゲージについて考える

昨日の日経新聞で「空き家とリバースモーゲージ」という記事を読んだ。私は割と以前から「リバースモーゲージ」に関心を持ち、当社も何らか事業として取り組めないか?とも考えていました。銀行代理店の活用や中古住宅市場の成長と併せてもっと普及するかと思っていましたが・・。「子孫に美田は残さず」という故事に反して、まだ日本人のメンタリティには合わないのかも。潜在的な需要は非常に大きい(みずほ銀行の試算では5兆円)にしても、本格的に普及するかは最近疑問に思えてきました。

当社が位置する浜松市天竜区はそんな田舎であり、過疎というか人口減を象徴する地域。この10年間で人口が2割減っていますが、世帯数はほとんど減っていないという。核家族化しながらの人口流出。親世代を残し子世代は街に出ていくということ。リバースモーゲージが「可能だとすれば」ニーズを満たす条件はある。しかし、これもつまるところ需給関係で決まる。それは空き家問題も同じ。一方的な供給は、点での解決は出来ません。硬直的な税制や法規制も包括し柔軟な対応が必要でしょう。

ところで知らない方の為に「リバースモーゲージ」とは?自宅を担保にして高齢者に老後資金を融資する仕組みで、死後に自宅を売却して返済に充てるのが一般的。ただし、家屋の価値が20年程度でゼロになる日本では担保に使えるのは土地のみで、建物部分は評価の対象外となる、という金融の仕組み。かつて「土地神話」なんて言葉があったが、それは過去のこと。人口減により土地が余る今後。リバースモーゲージが成立する地域や条件は限定的にならざるを得ません。