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2019年08月05日

廃棄物ひとくちコラム

第40回  <山梨県内における汚泥の不法投棄について(第3報)>

まず冒頭に読者の皆様にお詫びをさせていただきます。前回コラムで、山梨県内における汚泥の不法投棄案件について第2報として情報提供致しましたが、編集ミスから第1報原稿を削除し忘れ、大変に読みにくい意味不明のコラムになってしまい申し訳ありませんでした。 第2報を以下のとおり訂正させていただきます。

先月号(6月号)で山梨県内における汚泥の不法投棄事件を速報で情報提供させていただきましたが、その後の状況について報道された記事を整理してお伝えするとともに、今後の見通しについて書いてみたいと思います。

まず、本事案に関する報道に接する中で、不法投棄とは直接関係はありませんが、富士川に設定されている水利権について驚くべきことが判りました。先月号で日本軽金属蒲原工場に関連する水力発電所や専用導水路の存在は書きましたが、これに関して調べてみると

1 発電用水量、すなわちこの事業用に与えられている水利権は毎秒75㎥にも達している。

2 専用導水路への取水は、支流の早川から毎秒30㎥、残りは富士川本流から行っている。

3 国土交通省が公表している富士市松岡で測定している富士川本流の水量は、2016年の年平均値で毎秒78㎥。つまり、水利権の限度まで取水していると仮定すると、駿河湾への到達時点では、富士川本流と専用導水路の水量がほぼ等量である。

4 早川流域のダムや取水堰の管理は、国や県ではなく、民間事業者が行っている。特に、今回投棄事案が発生した雨畑川は、ダムの管理、堆積土砂の管理(抜き取り、除去を含む)、砂利の販売を全て日本軽金属の子会社が行っている。

5 番外事項として、リニア新幹線工事に伴う大井川の流量減少(毎秒2㎥)が大きな話題となっているが、現状大井川源流部から毎秒5㎥の水量が、導水管により早川に流されている。

以上のことが判りました。特に、4の民間事業者による河川の管理という点が、今回の不法投棄事案の発生やその後の措置に大きな影響を与えたと考えています。

山梨県は、事案発覚した5月16日の時点で、廃棄物処理法に基づく報告徴収を行うとともに、撤去を指導する旨表明していましたが(6月号で既報)、措置命令等の行政命令は発出していませんでした。また、この時点では、事業者であるニッケイ工業は、投棄ではなく一時保管だと主張していました。そうした中で、5月下旬に大雨が降り、ダムの放流により、雨畑川の河川敷に投棄されていた汚泥の一部が流出してしまいました。大雨による流量増加に対応するための止むを得ない放流であり、県には通報したと事業者は言っていますが、汚泥投棄の反省をし、真摯に撤去の計画を立てているのであれば、もっと違った対処の方法があったのではないかと私は考えます。

また、6月15日の報道では、ニッケイ工業は当初設定されていた5月末の期限は守れなかったものの、14日までに4,400㎥の投棄汚泥を撤去したとしており、これを受け、山梨県は検討していた刑事告発を見送る方針としています。一方で、同日の報道では、投棄現場の下流の瀬には現在でも汚泥が堆積している写真が掲載されています。行為者の近傍にまとまって投棄されていた廃棄物、つまり片づけ易い廃棄物だけが一時的に除去されたに過ぎない現状と推測できます。
また、6月15日の報道では、ニッケイ工業は当初設定されていた5月末の期限は守れなかったものの、14日までに4,400㎥の投棄汚泥を撤去したとしており、これを受け、山梨県は検討していた刑事告発を見送る方針としています。一方で、同日の報道では、投棄現場の下流の瀬には現在でも汚泥が堆積している写真が掲載されています。行為者の近傍にまとまって投棄されていた廃棄物、つまり片づけ易い廃棄物だけが一時的に除去されたに過ぎない現状と推測できます。

ここまでが事案発覚から現在までの経過ですが、本件の今後の推移については、以下の点に注目していきたいと思います。

1 山梨県は、ニッケイ工業に対し、下流に流出した汚泥の除去(回収)をさせるのか、これ以上は求めないのか。行わせる場合、指導ではなく、行政命令を発出するのか。

2 過去10年余にわたって反復継続していた汚泥の不正処理に対して、山梨県は告発をしないのか。今回の告発見送りは、撤去指示に対しての不履行を問題としたもので、法第16条違反=不法投棄罪の適用を視野に入れたものではないと考える。

3 仮に、行政(山梨県や国土交通省)が告発を行わない場合、投棄の決定的証拠を握っている静岡新聞社が告発を行わないか。刑事訴訟法第239条第1項では、「何人でも、犯罪があると思うときは、告発をすることができる。」と規定している。

4 専用導水路末端における水質測定結果の公表がされるか。富士川本流に近い水量があるので、この水路の水質は、環境に大きな影響を与える。SS(懸濁物質)濃度が明らかになれば、駿河湾への排出量やいつ頃から濁りが発生していたかが判る。



以上が、本来7月号に予定していた寄稿内容です。そのうえで、その後報道された記事を加えておきます。

由比港漁協は、6月下旬に投棄者であるニッケイ工業の主要株主の日本軽金属に対し、要望書を提出しました。要望内容は、「土砂の流出を抑制し、水質を改善することと駿河湾の生態系への影響調査を要求する。」というものでした。これに対して要望書を受け取った同社は、「ニッケイ工業の行為について謝罪する一方、後日文書で回答する。」としたそうです。また、静岡県議会6月定例会でもこの問題が取り上げられ、担当部長は、「導水管からの濁りは決して弱いとは言えない。注視している。」と答弁しました。

これらの記事から、導水管からの濁りの放出が深刻であることが関係者の間で認識されていることが読み取れます。サクラエビの不漁と直接の因果関係があるなしは別にして、まずは導水管路(取水先の早川)の濁りの原因を究明し、水質改善を行うことが喫緊の課題であることは衆目の一致するところです。

また、7月10日の報道では、山梨県知事は「ニッケイ工業は、なすべきことはした(野積みされた汚泥の撤去)という認識でいる。現時点では、刑事告発の必要はないと判断する。」と述べたとされています。同時に同県環境整備課長は、「過去の汚泥処理について疑念がある。事業者は、汚泥の一時保管と説明している。6月に一度報告書が提出されたが、つじつまが合わない部分があり、再提出を求めた。事業者を擁護しているわけではない。」とコメントしています。行政担当者としては、違反行為と決めつけて調査することはできないことは理解できますが、最後のコメントは十分に後ろめたさを感じていることの表れでしょう。

措置命令違反に関しては、15日間の遅延であること、命令発出者(山梨県)自身が告発を考えていないことから、それを根拠に検挙することは困難と考えます。しかし、現在調査進行中の汚泥投棄案件については、徹底的な調査が必要です。当コラムの本年3月号に岐阜県瑞浪市内で発生した汚泥流出事件の判決について触れましたが、『自社で発生した汚泥を自社管理地(今回の河川敷がそれにあたるかは?)に保管し、大雨によって場外に流出した。』という点で、行為内容として非常に共通点が多いと感じています。瑞浪案件では、不法投棄罪が確定しています。

現在は、前回コラムの今後の注目点2の段階です。山梨県の産業廃棄物行政担当者には、その力量が問われているという認識を持っていただき、厳格な調査を期待したいと思います。なお、原稿締め切りの関係で本稿には記載できませんが、本日朝刊にはニッケイ工業の他事業場での不法投棄報道がされています。改めてコメントさせていただきます。

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